うりきり屋

うりきり屋

日々思うことや経験したことを呟いています。夫、3歳、0歳と4人暮らし中。

授乳の時間

赤ちゃんが生まれて、授乳の時間が一番楽しいなあと思う。

 

赤ちゃんのお世話の中でも、授乳は絶対にしなければならない。やめたら息子は死んでしまうだろう。正確にはミルクでも何でもあげたら良いのだが、私は今のところ完全母乳で育てているので、私が授乳をやめたら息子は生きられない。

初めはとにかく義務である。よく3時間ごとに行うなんて言われているが、生まれたての息子はそうもいかない。そんなにまとまって寝てくれない。なぜ泣いているかわからない。だからひたすら母乳を与えた。おっぱいを吸っている間はおとなしい。でもその後にすぐ泣く。昼も夜も関係なく、泣く。そんな日が続くと、授乳が苦痛だった。嫌だ、というより疲れてしまって短めに切り上げることもあった。その後すぐに泣き出してしまって、母が息子をあやして「もっと飲むんじゃない?」と私に言うとき、正直きつかった。2〜3時間の規則的な間隔で飲んでくれるのは、こっちも仕事のような感覚で出来る。でも泣くからすぐにまたあげるのは、部活でいつものトレーニングの後に「今日は走り込み追加!」と言われるようなもので、しんどかった。

 

それでも2週間ほど毎日毎日母乳をあげればお互いに慣れてくる。授乳しているとお腹が減るから、たくさん食べて授乳する体力をつけた。クッションを使ったり息子の抱き方を変えながら試行錯誤を続けた。沐浴やオムツ替えは積極的に家族に手伝ってもらっていたけれど、授乳は私しかできない。しんどいけど、不思議と誰かに代わってほしいと思ったことはなかった。初めは義務だったけど、今は違う。きっとこれは責任感だ。

 

次に待っていたのは、ゲップとの戦いだった。私は溢れるほど母乳が出る体質だったので、息子が泣くのは母乳の出が悪いわけではなさそうだった。あまりにすぐおっぱいを離してしまうのでインターネットで調べてみると、逆に出が良すぎてむせているとのことであった。これまで、母乳がうまく飲めるようになるには息子が吸う力をつけて頑張るしかないと思っていたが、母乳の出に関しては私にも責任がある。それからは、母乳が溢れるときはタオルで少し押さえたりしながら与えることにした。

むせて苦しそうにしているので、ゲップをさせる。しかしこれがなかなかうまく出ない。大人は炭酸を飲んだ後にどうしてあんなに簡単にゲップができるのだろう。背中をトントンと叩く。ゲップが出ない、泣き止まない。夜中にあまりにも眠くて背中をバンバンと叩いてしまったこともあった。死ぬほど後悔した。大人がゲップが出なくてお腹が張っていたら辛いに決まっている。赤ちゃんも同じだ。

 

そうこうしながら3週間がすぎた頃、息子は少しずつ長くおっぱいを吸えるようになっていた。片方10分ずつくらいを目安に飲めると良いらしい。今までは5分も飲めばお互いに疲れ切っていたけど、一度もむせずに10分ずつ飲める日もあった。

母乳を求める赤ちゃんはどうしてこんなに一生懸命なんだろう。その顔がとても愛しくてたまらない。うまく飲み切ると、すやすやと私の膝の上で寝てしまう。あんまり可愛いので、そのまま布団に移動させずに一緒に寝たこともあった。授乳中はホルモンが出るのか、母性なのか分からないけど、脳内の幸せ物質が大量に出ている感じだ。

この可愛さは、授乳している私だけのものだ。息子が寝ているとき、お風呂に入れるとき、家族がそれを眺めては「可愛い」と口々に言う。でも、授乳中はそっと距離を置く。そうして私は息子と二人きりになる。この可愛さを独り占めしている気分になって、少し嬉しくなる。

産まれてすぐに夫が私の実家に来て、一緒にお世話をした。夫だけは授乳中に私の隣に座って息子の顔を眺めていた。3人だけの特別な時間だ。里帰りが終わったら、またこんな時間が過ごせると思うと楽しみで仕方がない。